nemos_story絵本表紙
森の一番古い枯れ木でみんながかくれんぼをしていると、こぐまのポントの目の前になにかがくるくるキラキラ落ちてきました。
「これはなんだろう?」そっと手にとると、急いでみんなを呼びました。「なにかの種かな?」みんなはそれぞれ想像を膨らませました。
ソルは自慢の鼻でクンクン「ふしぎないい香り…」ルナも自慢の耳をピン!「なんだかトクン、トクン、て聞こえるよ。これは『森の赤ちゃんの種』なのかも!」「ソルが育てたい!」「ルナが育てるもん!」「やだ!ぼくだけで育てたい」「みんなで育てるのはどうかしら?」と、こじかのルルも言いますが、
その声はポントの耳に届かず「ふふっ、ぼくだけの森の赤ちゃん!」と、スキップしながら帰ってしまいました。家に着いたポントはバケツにお水をいれると、次にお皿と柔らかな土を用意して、種を優しくうめました。そよ風と木陰の心地よさに、ウトウト。
「…あれ?寝ちゃってた!お水お水」しかしバケツはからっぽです。「あれれ?お水はどこ?」こんどは種を井戸へと運びますが、つまずいて落としてしまいます。
泣きべそをかいているポントのところに、こぞうのポウポウとこりすのアマンがやってきました。「おーいポント、大丈夫かい?」ポウポウは「一人じゃ大変だろう?ぼくたちが力になるよ」と言い、アマンは「水辺なら育てやすいだろう?案内しよう!」と、ポントの手をひきました。
しばらく歩いていくと、白樺に囲まれた美しい湖が現れました。 「秘密の湖へようこそ!あそこは明るくてぼくのお気に入りの場所なのさ」アマンは得意げに言いました。
「さっきは落としちゃってごめんね」ポントがお水を与えると、芽はまるで『だいじょうぶ』と応えるかのように、ゆっくりとまわりながらのびはじめました。「ぼくも!」ポウポウが踊りながら水をまくとあたりが虹色に輝き、芽も踊るようにくるくると伸び続けます。「ぼく、ほかのみんなにも声をかけてみる!」と、ポントはワクワク。
何日か経つと、枝は様々な葉をつけてまあるくなり、呼吸をするように動いていました。「ルルの歌声ですやすや寝てるみたい」風が運んださざめきと香りを頼りに、ルナとソルはお花を集めてきました。それをこひつじのマリーが花かんむりへとつむぎます。「かわいい!ゆらゆら揺れて喜んでるみたい」
しばらくお世話を続けましたが、森の赤ちゃんはうまれません。「ぼく、本当は育てられるかずっと不安だったんだ。だから赤ちゃんもでてこれないのかな…」と、ポントが言うと「あなたが不安に感じているのは赤ちゃんを大切に想っているからこそなの。そのままがいいの。大丈夫、私たちもついているわ。」 口数の少ないマリーが励ましてくれました。
「…ありがとう」ポントは目があつくなるのを感じました。「力になってくれたみんなやこの世界を見せてあげたい。おねがい、でてきて!」そう強く願った時,中からあふれだした光と共に、森の赤ちゃんがうまれました。「わああ、かわいい!…この気持ちはなんだろう」愛おしい気持ちを初めて知ったポントは、胸がきゅう、としました。
「素敵な色の瞳ね」「湖に咲くネモフィラの花みたい」「名前はネモフィにしよう」ポントが名づけると赤ちゃんはにっこり微笑みました。こうして森の赤ちゃんは誕生したのです―
nemos裏表紙
nemos story表紙
森の一番古い枯れ木でみんながかくれんぼをしていると、こぐまのポントの目の前になにかがくるくるキラキラ落ちてきました。
「これはなんだろう?」そっと手にとると、急いでみんなを呼びました。
「なにかの種かな?」みんなはそれぞれ想像を膨らませました。
ソルは自慢の鼻でクンクン「ふしぎないい香り…」ルナも自慢の耳をピン!「なんだかトクン、トクン、て聞こえるよ。これは『森の赤ちゃんの種』なのかも!」
「ソルが育てたい!」「ルナが育てるもん!」「やだ!ぼくだけで育てたい」「みんなで育てるのはどうかしら?」と、こじかのルルも言いますが、
その声はポントの耳に届かず「ふふっ、ぼくだけの森の赤ちゃん!」と、スキップしながら帰ってしまいました。
家に着いたポントはバケツにお水をいれると、次にお皿と柔らかな土を用意して、種を優しくうめました。そよ風と木陰の心地よさに、ウトウト。
「…あれ?寝ちゃってた!お水お水」しかしバケツはからっぽです。「あれれ?お水はどこ?」こんどは種を井戸へと運びますが、つまずいて落としてしまいます。
泣きべそをかいているポントのところに、こぞうのポウポウとこりすのアマンがやってきました。「おーいポント、大丈夫かい?」
ポウポウは「一人じゃ大変だろう?ぼくたちが力になるよ」と言い、アマンは「水辺なら育てやすいだろう?案内しよう!」と、ポントの手をひきました。
しばらく歩いていくと、白樺に囲まれた美しい湖が現れました。 「秘密の湖へようこそ!あそこは明るくてぼくのお気に入りの場所なのさ」アマンは得意げに言いました。
「さっきは落としちゃってごめんね」ポントがお水を与えると、芽はまるで『だいじょうぶ』と応えるかのように、ゆっくりとまわりながらのびはじめました。
「ぼくも!」ポウポウが踊りながら水をまくとあたりが虹色に輝き、芽も踊るようにくるくると伸び続けます。「ぼく、ほかのみんなにも声をかけてみる!」と、ポントはワクワク。
何日か経つと、枝は様々な葉をつけてまあるくなり、呼吸をするように動いていました。「ルルの歌声ですやすや寝てるみたい」
風が運んださざめきと香りを頼りに、ルナとソルはお花を集めてきました。それをこひつじのマリーが花かんむりへとつむぎます。「かわいい!ゆらゆら揺れて喜んでるみたい」
しばらくお世話を続けましたが、森の赤ちゃんはうまれません。「ぼく、本当は育てられるかずっと不安だったんだ。だから赤ちゃんもでてこれないのかな…」と、ポントが言うと
「あなたが不安に感じているのは赤ちゃんを大切に想っているからこそなの。そのままがいいの。大丈夫、私たちもついているわ。」 口数の少ないマリーが励ましてくれました。
「…ありがとう」ポントは目があつくなるのを感じました。「力になってくれたみんなやこの世界を見せてあげたい。おねがい、でてきて!」そう強く願った時,
中からあふれだした光と共に、森の赤ちゃんがうまれました。「わああ、かわいい!…この気持ちはなんだろう」愛おしい気持ちを初めて知ったポントは、胸がきゅう、としました。
「素敵な色の瞳ね」「湖に咲くネモフィラの花みたい」「名前はネモフィにしよう」ポントが名づけると赤ちゃんはにっこり微笑みました。こうして森の赤ちゃんは誕生したのです―
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